横輪さくら

4月8日(火)

平家落人伝説の里を訪ねた。

この里の桜は横輪桜と言い、横輪町のみに存在することから、このように呼ばれている。
今から約150年前に桂林寺にあったものを、村人が各家に持ち帰り、増やしたものとされている。

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他の桜との相違点はおしべが変化し、花びらになり、開花とおなじくして葉も付き始める。
開花時期は、ソメイヨシノより数日遅れ、花の大きさは2~3倍大きく、
濃いピクク色の大輪が年を重ねるごとに増え、12枚ほどの花びらをつけるものもある。

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25年前の、むせる様な新芽若芽の頃、この平家落人の村を、最奥までウオーキングしたことがある。
いつもは入口の横輪町の桜を見て帰るのだが、久しぶりに床の木(いすのき)まで行ってみた。


     落人の村

     拡張された県道を左に折れると
     忘れられたような村がある
     今は廃屋の茶屋を廻るようにして
     裏から続く道をのぼる
     幾つもの橋を渡り
     曲がりくねった草の道を行く
     すれ違う村人は
     変に素知らぬふりをして
     城壁のような塀の中に消えていく
     この辺りの家はすべて
     ぶ厚い石積みの塀を四方に巡らし
     道より一段と低くなった屋敷では
     屋根が覗いているだけだ
     苔むした石積みの塀は
     よそ者をかたく拒んでいる

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     橋を四つ渡って
     横輪を過ぎた
     五つ目の橋を越えて 下村
     ここまでは誰も追ってこなかったのだろう
     家は道に面し
     玄関が見える
     こいのぼりが泳いでいる

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     また橋を越えて 菖蒲
     朝から薄い霧だ
     この村はぼんやりとした風景が似合う
 
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     上村を過ぎる頃
     霧があがった

     川に沿って村はひっそりと在る
     この村は 今も
     日の出と共に目ざめ
     月と共に眠る
     刻はゆっくりと動いているのだ
     木を切る人は
     菖蒲が咲き乱れている沼を廻り
     山に入る
     朝 バスは出発するが町までゆかない
     夕方 又同じ人を乗せてバスが戻ってくる

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     バス停に丸太が一本転がっている
     その丸太に腰を下ろして
     帰ることのない息子を待っていた老婆は
     バスが車庫に入るのを見届けて
     ゆっくりと立ち上がる
     老婆が消えて
     床の木に人の気配はない

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     傾く時間の中で
     わたしも傾く
     みぎもひだりもまえもうしろも
     若芽新芽の山に囲まれ
     今にも窒息しそうだ

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     * 横輪・下村・菖蒲・上村・床の木(いすのき)、いずれも村落の名

思い違いが幾つかあった。
終点、床の木の駐車場の車庫が無くなり納屋らしきものが建っていた。
丸太の代わりにパイプ椅子が置いてあるのには笑うしかないが・・・・・。

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華やかな桜と成長の新芽若芽との違いはあるが、この地域は変わっていない。
かなしい(愛しい)程うつくしい。








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