影踏み・縄・かごめかごめ

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こどもの遊びから。


影踏み

地球の
少し歪んだ処から
影が広がり
影踏みをしていた 少女らが消えた
少女らは
まだ 影の中で
影踏みをしていたに違いないが
おとなの目には見えない
沈む日に背を向けて
おとなたちは
少女らをのみこんだ影の部分に
有刺鉄線を張りめぐらし
キケン
と 書いた板をぶら下げる

棄権
おとなたちが棄ててきたものは
何だったのだろう
地球の凹みへ
落ちそうになるたびに
ひとつ 又 ひとつと
棄ててきたものが
暗がりの中で
夜光虫のように光っている
手をのばせば届きそうな
わずかな距離だ
だが 影踏みをしなくなってから
おとなは
危険
な 場所へは踏み込まない

夕ぐれ
球形の景色は以前と変わらない
少女らをのみこんだ
影の部分が
すこし重くなっただけだ




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真昼に
子供たちのまわすなわとびの縄は
幾万遍となく地を掃き
空を拭き清めている
縄は終日 円をえがき
さざ波をたて
心の淵を揺すっている

真夜中
見えない鬼の手が
子供たちの捨てていった
なわとびの縄をまわし始める

縄は地を殴ち
空を蹴りあげ
幼い頃の夢を忘れ
優しい眠りにつけない者たちの悲鳴が
鬼のまわす円から逃れられず
闇の淵をかけめぐっている

そして今
すべての鬼の手を離れた縄は
もはや なわとびの縄でなく
地と空の距離をはかるでもなく
夜明けの淵にたれ下がっている




かごめかごめ

夕やけの赤い日だった
目かくしされた私の
うずくまる周囲を
小さな手を結びあわせたた輪が
円くなったり
楕円になったりして廻っていた
日暮れても
「かごめ かごめの」のわらべ唄にあわせ
輪はほどけなかった
この輪の中に
永久にとじ込められるのではないかという思いが
一瞬 胸をよぎっていった
それから かぞえきれない日をくぐり
輪をつくっていた子供達が
ひとり ふたりと消えて
大きな鳥籠だけが残された
目かくしされたまま大人になって
私を籠の中にとじ込めたのは
誰だったかもうわからない
夕やけの美しい日は
唄が聞こえてくる
子供達はあの空地からどこへ行ったのだろう
私は 未だに籠の中から出られない




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